下着としてシャツの下に身に付けると涼しくて快適なエアリズム。
でも、なぜ涼しくなるのでしょう?
【エアリズムが涼しくなる理由】
2つの科学の要素が主な理由です。
毛細管現象
気化熱
【毛細管現象】
細い管状のものの中にある液体が、外部からのエネルギーを受けることなく、管の中を移動する現象のことを言います。
UNIQLOのホームページ等を参照すると、エアリズムはおよそ8マイクロメートルの原糸を100本に束ねて1本の糸にして、生地を作っているそうです。
その原糸がめちゃめちゃ細く、その原糸どうしの隙間に水(汗)が入ると、毛細管現象の働きにより、体の汗がエアリズムの内部から外側へも移動していきます。
【気化熱】
水や液体が蒸発することを気化と言い、その際に周囲の熱を奪う必要があり、その奪った際に周囲の温度が下がります。
これを気化熱と言います。
同じ量であれば、コップに入った水と、霧吹きで噴出した水では圧倒的に霧吹き方が気化し易く周囲の熱も瞬間的に奪ってしまいます。
沸騰した夜間から出てくる湯気や、冬の加湿器もあっという間に気化のため、湯気が消えてしまい(水蒸気になってしまい)ますよね。
エアリズムは、原糸の隙間を移動している汗は水滴のような大きな形ではなく、ミストのように、ものすごく水(汗)の表面積も小さくなっているため、そして生地に水を吸わない化繊を使用しているため、直ぐに気化し易い状態になっているのです(これをUNIQLOでは速乾性と謳っていますね)。
気化するときに、熱を奪う性質が水にはあり、それを気化熱と言います。
つまりエアリズムは気化熱によって涼しくなると同時に乾きも速い構造と言う「二兎追う者が二兎ととも得られた」優れものと言えましょう。
古くからの習慣として生活の中で気化熱を利用したものが残っています。
「打ち水」です。
エアリズムはそれを更に追求した「衣類版打ち水」。
では「打ち水」も同じ仕組みで涼しくなるのですが、もっと詳しく「打ち水の正しいやり方や、実際の検証実験」も含めて以下のブログでまとめてみました。
気化熱の効果を是非、こちらのブログでご覧ください。
【エアリズムで簡単な実験を行ってみた】
※この実験は非常に雑に慌てて行ったもので、当然ながら、もっと丁寧な実験(要望があれば準備はできています)をすれば、もっと良い結果が得られます。
エアリズムを着た状態で表面温度を計測
エアリズムに体温程度のぬるま湯を吹きかける
濡れたエアリズムを少しの間(10秒程度)、軽く振る
再度エアリズムの表面温度を計測
完全に乾かなくても、温度は7℃も下がっています。
汗をかくのは体の体温を下げるための欠かせない生理現象で、それを一層効果的にするのがエアリズムと言えます。
<Tシャツで比較実験>
Tシャツを着た状態で表面温度を計測
Tシャツに体温程度のぬるま湯を吹きかける
濡れたTシャツを少しの間(10秒程度)、軽く振る
再度Tシャツの表面温度を計測
1℃程度下がりました。
生地がコットン100%のTシャツはほとんど乾くことなくビショビショでした。
【エアリズムを使用するのに知っておきたいこと】
【生地】
これらの2つの科学定期要素を実現するために生地も拘りが必要です。
先述しましたが、主にエアリズムではポリエステルやポリウレタンが使われています。
ポリエステルやポリウレタンは吸水性が良くない(親水性が無い)繊維だと言うことです。
それ故、水を追い出しやすくし、気化し易くしています。
逆に親油性が大きく、油を吸着する性質が高いため、油汚れや、皮脂の汚れが付着するとなかなか取れにくくなります(油汚れ皮脂汚れに弱い)。
薄く細かく作られているエアリズムは、熱にも強くないため、炎天下で天日干しや乾燥機で乾燥させると、縮み等が起こり、エアリズムの機能を減らしてしまいます。
【エアリズムは化繊です】
化繊負けと言う言葉が昭和のころからあるように、ポリエステルやポリウレタンは化繊の仲間で、人によってはかゆみ、かぶれ、湿疹、接触性皮膚炎を発症してしまいます。
エアリズムに限らずですが、化繊が体質的に合わない人は絶対に使わない方が良いでしょう。
日常には、科学技術の進化により便利や快適なモノがドンドンと開発されています。
が、その理由や根拠をしっかり理解すると、一層効果的に便利や快適を高めることができますし、一方で、「やってはいけないこと」も理解でき、安全に正しくモノと接することができます。
これが本当の知恵と言えます。
科学も学ぶだけではなく、日常を便利にする知識として活用して、初めて先人たちが築き上げてきた科学の恩恵を受けられ、科学という学問の意義が発揮されるのです。
常日ごろ、「ふ」(不、負)を無くすという「気付きの発想」を持っていると、凄い発明家や科学者になれるの近道と言えましょう!
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